めっちゃ美味しい非売品

何の意味も無い今日のブランチ


非売品やから、食べた事が有るんは、ほんの十数人と思う。

私のパート先の和菓子屋は、自社工場で洋菓子も少し作っている。
工場は店舗の直ぐ側に有る。
店舗にはあまり在庫を置くスペースが無いので、商品が足りなくなったら工場の低温管理倉庫に取りに行くことが日常茶飯事。
当然工場では常時、和菓子や洋菓子を作っているんやけど、それをガラス越しに横目で見ながら商品を持って行く。
時々、成形の際に出来た切れ端が積まれている時に出会う事がある。
今日、私が品薄の商品を取りに行った時に、工場の副主任(女性)が手招きした。
覗いて見ると、成形の際に出た切れ端を片付けている最中で、
「この切れ端がめっちゃ美味しいから食べてみて。」と。
勿論、食べてみた。
めっちゃめっちゃ美味しかった。
正直、成形後の完成した商品より、こっちの方が数倍美味しいと思う、と素直に言った。
副主任も、私もそう思うと、笑って言った。
こんなに美味しいのに、商品として売れない理由は、見かけだけ。
なんとか譲って貰えないのかと聞いたら、処分する切れ端とは言え、摘まみ食いしてるさせてるのが社長にバレたら私が叱られるから、ここで好きなだけ食べて行きよ、って。
残念な事に、非売品。
この後、二次加工されて、クッキーに生まれ変わる運命の切れ端たち。

私があの切れ端の美味しさを知ってる事自体、社長にバレてはならない事だから、社長に譲って欲しいと言うことも出来ないジレンマが半端ない!
タイミングが会えば、また食べさせてあげるからと、幼児をなだめるような事を言いながら副主任は作業に戻った。

いや、まじで美味しかったのよ!
そもそも売ってないから買えないし、買えないから食べたことがある人は皆無に等しい。
あの切れ端の美味しさは、ここでパートしたから知ったという役得だわ。